産業用風力発電

このページでは、大きく分けて3種類ある風力発電のうち産業用風力発電について解説します。概要や将来性、課題についてまとめています。

産業用風力発電とは

自家用の風力発電に対し、もっぱら売電を目的とする風力発電のことを、産業用風力発電と言います。事業用風力発電と呼ぶこともあります。産業用風力発電は、かつてから事業者・投資家の間で注目されていましたが、国の建設補助金の打ち切りなどを理由に、近年は建設数が停滞していました。

建設補助金の打ち切りと同時に打ち出されたのが、電力の固定買取制度。決まった価格で決まった期間、電力会社が風力発電の電力を買い取る制度でした。

当初は補助金打ち切りのインパクトが大きかったため建設数が停滞しましたが、年々下がる太陽光発電の固定買取価格に対して、風力発電は55円/kwと高額な水準を維持し続けたため建設が再燃。2014年には建設ラッシュとも言えるほど風力発電設備は急増しました。

現在、大手企業による巨大な風力発電所が全国各地に建設されており、同時に個人や中小の事業者による中規模・小規模な風力発電所もたくさん建設されています。

また近年は、より強力で安定的な風力が得られる海上に風力発電設備を置こうとする動きも見られます。洋上風力発電です。

実用化されている洋上風力発電所は現在、日本にまだ数少なく規模も小さいのですが、平成30年代には沖合に巨大な風力発電設備を建設すべく、大企業・研究機関・省庁などが産学官連携で研究・実験を進めている段階です。

洋上風力発電所は初期投資額が数百億円と莫大なため、一部の大企業による仕事となるでしょう。

一方、中小規模の風力発電は、建設コストが低めであるばかりでなく、固定買取価格が55円/kwと高く、しかも買取期間が20年と長いことが特徴。そのため、事業者・投資家たちの間では、太陽光発電に変わる投資先として、中小の風力発電事業に乗り出す動きが多く見られています。

産業用風力発電は、今後加速度的に普及が進むと予想されています。

産業用風力発電に対する追い風と課題

産業用風力発電には、まだまだ課題があります。しかし一方で数々の大きな追い風が吹いています。

課題の一つは、生態系への影響です。

風車に鳥が衝突するなどの実害が見られています。たとえば、青森県は風力発電に非常に適した地であるものの、貴重な渡り鳥の飛来地でもあるため、大規模な風力発電設備の計画が変更された経緯もあります。

京都や三重では、風車落下事故も見られました。大型の風車が高所から落下したため、近隣住民にとっては大きな脅威だったに違いありません。安全対策を万全にするとともに、住民との十分な対話が課題です。

コストの問題もあります。

かつてに比べれば初期投資額はだいぶ安くなったとはいえ、まだ太陽光発電ほどの目立ったコスト変化は見られません。風力発電設備の普及・拡大こそが、技術の向上と量産システム、そしてコスト安へと導いてくれるでしょう。

一方、これら課題を吹き飛ばしてくれるような追い風もたくさんあります。

まずはすでに説明したように、あたかも中小規模の産業用風力発電のみが優遇されているかのような、政府の固定買取価格制度です。

再生可能エネルギーはすべて固定買取制度の対象となっていますが、中でも特に産業用風力発電への力の入れ具合が違います。

風力発電機器のコストパフォーマンスの向上も見られます。

まだ太陽光に比べて割高感は否めませんが、技術の向上や機材の大型化などによって、コストパフォーマンス向上は着実に進んでいます。さらに、電力会社と事業者との連系対策や蓄電池活用など、産業用風力発電を普及させるために、インフラのレベルでの議論・検討が始まっています。

産業用風力発電はポスト太陽光となりうるか?

現在の状況だけを見れば、太陽光発電と風力発電でどちらが投資先として有利かは一概には言えません。

固定買取制度の内容だけを比べれば、圧倒的に風力発電のほうが有利です。ただし太陽光発電の建設費用は、数年前に比べても各段に安くなりました。風力発電よりも初期投資額が低めなのです。

そのため、少なくとも現在だけの状況を見て、どちらが有利と言うことはできません。

両者を比較するのであれば、将来性に注目しましょう。どちらのほうが成長余力のある発電方法かという観点です。

実は日本には、北海道や青森県、福島県など、風力に恵まれた場所がたくさんあります。風況の調査や電力会社の連系などが進めば、まだまだ成長余地が高いと言えます。成長余地が高いというよりも、長期的に見れば日本の産業用風力発電はまだスタートしたばかりと言うこともできます。

技術力も環境も十分に備えている日本ですから、あとは準備が整うのを待つだけといった状況です。実際、海外の企業は日本での風力発電事業計画を着々と進めています。

また、経済的排他水域第7位の日本の洋上には、風力発電に適した場所が多く潜在しています。洋上風力発電が本格化すれば、陸上のものも含めて風力発電全体の市場規模が拡大していく可能性もあります。

産業用風力発電には、将来性が十分にあると考えられます。ポスト太陽光が風力発電となる日は、決して遠くはないかもしれません。

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